融体の物理化学
開講時期:前学期
単位数:2-0-0
担当教官:須佐 匡裕 助教授 大岡山 南1号館603室(03-5734-3141)susa@mtl.titech.ac.jp
【講義のねらい】
「融体」という言葉は,広辞苑にも,理化学辞典にも掲載されていない.まずこの言葉を説明したい.「融体」とは,本質的には液体と同じである.ただ,人間の感覚から見て,高温で物質が融解した状態を「融体」とよぶ.「高温という言葉が明確に定義できないため,「融体」も厳密には定義できない.ふつう,水を融体とは呼ばないが,融けた鉄は融体と呼ぶ.もちろん,液体と言っても間違いではない.材料は,融体を経由して製造されることが多い.金属の精錬,鋳造などはその卑近な例であるし,チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造もその例である.従って,よい材料を製造しようとした場合,融体の物理化学的性質をよく理解し,融体が材料にかわる’その場(プロセス)’を制御する必要がある.プロセス制御は材料の高度化・複雑化に伴いますます重要となり,より効率的に行うためにプロセスモデリングが開発されている.そして,このためには融体のいろいろな物性値が必要となる.本講議では,金属や半導体の製造を念頭におき,それらに関与する金属や酸化物の融体を対象として,その構造や物理的および化学的性質について述べる.
【講義計画】
1. 熱力学の復習
2. 量子化学の復習
3. 融体の構造と熱力学
4. シリカ薄膜の構造と生成機構
5. スラグの塩基度
6. スラグの光学的性質
7. スラグの熱的性質
8. 溶融金属の光学的性質
9. 溶融金属の熱的性質
【成績評価】
【テキストなど】
参考書 1. 日本金属学会:金属物理化学
2. ハナ:化学者のための量子力学
3. Y.Waseda and J. M. Toguri: The Structure and Properties of Oxide Melts, World Scientific
4. C.Kittel: 固体物理学入門,丸善
【履修の条件】
【担当教官から一言】